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オオタカ顛末(中道のススメ)

SNSでは精肉オオタカ、なんかイメージが悪いですね。こんな書き方はしたくないですね。前のエントリの反響の多さに驚きました。いつもの10倍以上のアクセス。まあ、ここはそんな場所ではなく、オッサンがヘボ写真を貼るマスターベーションの場所でしかありません。本当は幼鳥さんの冒険ウェーイ\(^o^)/とかやっていたい訳ですよ。でも関わった以上、現地に行って状況を確認しなくてはいけないと思いました。そして聞けるものなら現地の方から経緯についても聞きたいと思いました。


なので本日、出社前に現地に行ってきました。
現地の状況を説明すると、現在2羽の幼鳥が健在ということで、私自身もその姿を確認することが出来ました。親についても、私は見ることは出来ませんでしたが♀は健在で幼鳥に給餌を行っているということです。この点から親が営巣放棄に至っているという事実はないようです。


ただ、成鳥♂に関しては10日ほど前から姿が見えないとのことです。地元の方によると木に挟まった状態でカラスに襲われていたという話もあり、カラスからなんらかの形で襲撃を受けていたことは確かなようです。近くにいたカメラマンによると、別の営巣場所でも同じようにカラスに襲われて♂が行方不明になったとのことで、あり得ることだと思います。最悪の場合、カラスの襲撃によって落鳥したなんてこともありえます。とにかく、♂は不在であり営巣が正常に行われていないという事実はあります。

幼鳥が2羽と書きましたが、実は巣を出た幼鳥は3羽います。ただ、3番子の発育は遅れており、巡回するブログで見ましたが、他の2羽がほとんど綿毛が確認できないような時期に全身がまだ綿毛で覆われているような状況でした。♂親が不在に加えて不幸が重なります。3番子は未成熟なまま巣から落ちたようです。ここで♂のアシスト得られず狩りに限界のある♀は3番子を見限ったようなのです。非情なようですが猛禽にはあることで、病気や怪我で見込みのない雛を切り捨てることがあります。中には2羽生んでも1羽しか育てない種もいます。彼らにとっては確実に子孫を残し、種の存続をはかることが重要で、人間の考える人道的な話など入り込む余地がないシビアな世界ということですね。そんな中で3番子を不憫に思った地元の方が餌を与えたというのが真相のようです。

SNSで拡散炎上したようなカメラマンが撮影目当てに餌付けをしたなどとは違うということですね。


3番子については一昨日、行政が保護したそうです。発育が他の兄妹達に遅れているため餌にありつけず、衰弱が激しかったようです。行政の方は回復すれば戻すと言っていたらしいですが、それなりの訓練とかが出来るのでしょうかね。それはともかく無事、成長してくれることを祈りたいです。

今回特に感じたのがネット、特にSNSの過激な意見です。私も反省すべき点はあるのですが、SNSは短いセンテンスに自分の主張を込めるため特にキツい表現になりがちです。本人にその気がなくても、対象とされた方々は反発したり、深く傷ついたりすると思います。もちろん、主張する人たちは義憤にかられてやっていることで悪気はないのですが、今回は不埒なカメラマンの行いとして拡散したため、かなり攻撃的になったことは確かです。
そして、この傾向が最も強かったのがタカに造詣が深く、愛情も強い識者の方達でした。そこうした深い知識や知見を持つ方々は原理主義的な傾向が強く、極端な意見に走りがちです。餌付けなど以ての外、中には毒を与えているのと同じなどと仰る方もいます。それ以外にも野鳥の会のマナーを1mmたりとも破ってはいけないなんて方もこういう人も極端な方々に含まれると思います。こうした人を極端に左方向に振れた人たちとしましょう。
逆に右寄りの方がどんな人かというと唯我独尊、良い写真を撮るためには手段を選ばない。指摘を受ければ俺は何十年も撮影しているが、一度も営巣放棄させたことなどないなんて堂々主張しちゃう人ですね。こんな極端な人は見たことありませんが、時折フィールドで枝をポキポキなんて人を見かけます。
じゃあ、中道ってというと名前の通り大きく右にも左にも触れない文字通り真ん中を行くということですね。正直、私自身野鳥の野会マナーを1から10まで全て守っていたら野鳥撮影なんて出来ません。もちろん中にはルールに厳正な立派な方もいるんでしょうが、私には無理です。出来るだけ鳥に近づいて、大きく、キレイに撮りたいし、欲望に抗えず某峠のような所にいってヤラセのコマドリを撮ってしまったりします。それは私が愚かで、ダメ人間であるが故ですが、大半の人もそんなに厳格にルールやマナーを守れる訳ではないと思います。でも、その方々は非常識な方でも、悪人でもある訳ではないですよね。薄々はマナー違反であることを知りながら、欲望に負け、後でちょっと反省する、そんな感じじゃないでしょうか。
だから少しでもマナーを守って行こうと思うことが大事なんだと思います。毎週通っていたなら、1週おきにする。営巣時期は撮影を止めて巣立ち後にする。朝から夕方までまる1日いるなら、午前中だけにする。ちょっとした我慢で鳥への負担はぐっと減ると思います。無理のないことを少しの我慢で実践していく、それが中道ということです。お釈迦様は過激な修行を経てたどり着いたのはこの中道というという考え方でした。あ、自分はその手の勧誘の人じゃないですよ(笑)極端に右や左に振れることなく一人一人が出来ることをやる。それでいいんじゃないですかね。

まあ、今回は事実誤認をしている人たちが、地元の方たちを結果的に攻撃しているような形になってしまいこれはまずいと思ってエントリを上げた経緯があります。餌を上げたことは大きな視点で考えた時、正しくないですが、だから地元の人を責めるのはどうも違うと思います。過激な方向に進むのはいいですが、それでは人はついて来ないと思います。時間はかかっても、もう少し穏健な道を選ぶべきだと私は思います。

ということでこれにてオオタカエントリは終わりたいと思います。なんか途中から嫌になってしまうような長文ですみませんでした。明日からまたオッサンのヘボ写真過疎ブログに戻ります。では、今後も見捨てないでご訪問下さい。

最悪の結末(19年3月9日の撮り鳥)

7/4追記 凄い反響になってしまいびっくりしています。営巣放棄と書きましたが、7/3親が給餌に来たという情報をいただきました。営巣放棄ではない可能性が出てきました。今後は現地に行って情報を得たいと思います。営巣放棄の箇所には取り消し線を入れました。続報をお待ち下さい。

元々はこんなタイトルではありませんでした。梅雨の時期で先週末は雨模様。鳥見に行けなかったら在庫を出そう、そんな感じで準備をしていました。


発端はSNS、フォロワーさんの一人が餌付けしているあそこには二度といかないとつぶやいたことに始まります。


市販の鶏肉を切り株に置いて幼鳥をおびき出すという信じられない行為です。SNSには続々と非難の声が書き込まれます。私も怒りに任せてかなりキツいことを書き込みました。しかし、どうも実状は違うようなのです。


巣立ちを目前にして親鳥が子育て放棄をした模様です。ここはオオタカとの距離が近く、警戒心も薄い(ように見える)ことから甘く考えていましたが、それは勝手な思い込みだったようです。


巡回するブログにも、撮ったばかりの綿毛の残る雛の画像がアップされていました。それでもまだ最悪の事態までは想像していませんでしたが、最悪の結果を迎えることになってしまいました。


ここは元々地元の方が保護に努めて来た場所で、抱卵期にはロープで結界を張り、オオタカにストレスを与えないようにしていました。しかし、ネットなどで場所を名前入りで公開した人などが現れた所為でカメラマンの集結は加熱していました。


この3月時の訪問時さえ、カメラマンの数は70名を超えていたと思います。中には一般利用者の通行を妨げないように注意する地元の方の言うことを聞かない○ソ○キ若者まで現れて、近隣との軋轢が発生しないか心配していました。


それでもこの地では、オオタカと人間の間にある種の信頼関係のようなものがあり大丈夫だと考えていました。


でも、甘かったですね。元来、人間好きではない猛禽にとって度を過ぎたカメラマンの集結はストレスだったのでしょう。結果は巣立ちを目前にしての子育て放棄。最悪の結果になりました。 7/4時点で営巣放棄の確認は出来ていません。


問題となった餌付けの写真、実は地元の方が当面、幼鳥たちの命を繋ぐために始めたようです。決して、写真を撮りたいがためにやっているのではないです。


ただ、次にSNSで起こったのは餌付け行為に対する識者達の批難です。血抜きをした鶏肉は雛の発育に良くない。たとえ善意であっても餌付けは許されないなどの意見です。もちろん、自然のままに委ねるというのが正しい方法であることは分かります。こうした事を許していれば、もっと大きな視野で見た場合それが生き物の生存に影響を与えかねかいということは十分理解はしています。餌をもらうことに慣れたキタキツネの子供が、ある日道端で冷たくなっているというあれです。しかし、今回の件については私は地元の方を支持します。自分たちが大事にしてきた場所で、営巣を手助けして巣立たせていたところで幼鳥が餓死していくのは忍び難いことでしょう。それは人情として十分理解出来るものです。正しければ良いというものでは無いと思います。


今回の件について何が原因になったかの真相は分かりませんが、カメラマンの加熱ぶりによる度を過ぎた集結であったであろうことは想像できます。私も含め、あそこに撮影に行った全てのカメラマンに責任があります。①抱卵期〜巣立ちまでは撮影にいかない②巣の写真は撮影しない③撮影地の場所を公開しない④長時間の撮影は避ける⑤携帯電話で仲間を呼び寄せない、仲間と大勢で押しかけない、どれも一般的な常識だと思います。全てとは言いませんがこの中の2つでも、3つでも守ったらオオタカへの負担は減ると思います。特に①と②は絶対に止めましょう。営巣放棄を招くいい絵なんて絶対存在しませんから。最後に私が切に願うのは事実関係も知らずに、地元の人を批難するのは止めて下さいということです。例え、ここで幼鳥たちが命をつなげたとしても、親から訓練を受けていない幼鳥たちがこの先生き残る可能性は著しく低いと思われます。冬を超えられる幼鳥は3割しかいないのです。それでも私は地元の方を支持します。オオタカの保護に努めてきた地元の方にはその権利があると思うからです。