【MeeGo】【N9】Nokia MeeGoの濃ゆーい話 その6

Tasukymuro.comのThe story of Nokia MeeGoの勝手に翻訳も既に第6回目、私のやる気もなんとか保たれているようです(笑)

今まではMeeGoプラットフォームのソフトウェアやデバイスに関する開発秘話的なものが中心でしたが、今回は人やMeeGoに留まらないNokiaの戦略変更にスポットが当たります。ステファン・エロップ氏がCEOに就任直後、Nokiaを離脱した一部の過激なMeeGo支持者はエロップ氏をMicrosoftが送り込んだトロイ(の木馬)だと言い、Nokiaの業績低迷や多くの従業員解雇を見て”悪のCEO”と評価する向きもあります。これは本当なのでしょうか。彼は様々な場面に置いてどんな決断を行い、会社をどこへ導こうとしているのかがここで語られます。

それでは”MeeGo悪のCEO編”(笑)をどうぞ。

NokiaのCEO Stephen Elopの2010年

Stephen ElopがNokiaのCEOというポストについてから、最も大きく変わったことといえば、ビジネスの中心が北米に移ったことである。Elop’s viewsによると、USで始まった潮流は、iPhoneやAndroidが示すように世界中で勝利する。それは、なぜNokiaはグローバルにおける成功の為にアメリカ市場の競争に必ず挑戦しなくてはならないかと言う事である。

Nokiaで仕事を開始して間もなく、”Sea Eagle”プロジェクトを開始した。Nokiaのスマートフォン戦略を整理し、代替案の分析を行う人選である。社内の10人に加え、Nokia社外からコンサルタントが雇われた。結果として、SymbianとMeeGoの組み合わせでは長期における戦略の成功は難しいと結論付けられた。

アメリカ合衆国においてはAT&TでN9販売の合意がなされていた。しかしながらハードウェア性能は競合するAndroidのライバルに比べて遅れていると考えられていた。コードネームRM-716という別のバージョンのN9がverizon向けに開発されていたことが明らかになっている。2011年中にN9を北米で販売出来たとしても、Nokiaは移り変わりの速いスマートフォン市場で長期間LTEをサポートする後継機を投入する事は出来なかっただろう。

Elopは従業員に送ったメモで、Nokiaは2011年の末までに市場に1台のMeeGo電話のみを得るだろうと説明した。MeeGoチームの分析中、Elopもしくは取締役会に2010年のホリデーシーズンにいかなるデバイスも確実に利用可能になる事を示せなかった。

N9に使われているOMAP 3630 SoCベースのデバイスは非常に厳しいスケジュールで市場に投入しなければならなかった。しかし、AppleやGoogleと競合するエコシステムは北米の携帯電話事業者がサポートするLTEのサポート無しで構築しなければならなかった。Intelとの協業の結果、安価なAndroid電話に対抗する中間価格のチップセットは無く、もはやSymbianではそれらに対抗は出来なかった。

N9は2011年夏には完成し、発表可能となった。NokiaとMicrosoftのWindows Phone戦略の結果、Nokiaは電話の出荷計画が明確になり秋には出荷が開始された。決定権を持つ組織、ほとんど働くもののいないプロジェクト、Nokiaの内部と外部の腕相撲は最終的には終了し、全ての人がプロジェクトの終息に集中する事になった。

最終的に、MeeGoは他の製造業者にとっても十分と言えるものではなかった。Nokiaはマーケットリーダであり、他者はNokiaはMeeGoプロジェクトにおいて強い力を持っていると考えていた。2010年の末NokiaはSamsung、LG、Sony Ericssonと交渉を行ったが、誰もMeeGoエコシステムの開発においてNokiaに協力すると決断するものはいなかった。ヨーロッパの大手携帯電話事業者も関連する投資に関しては同様だった。

バーニングプラットフォームとNokiaの新しいスマートフォン戦略

2011年2月の始め、CEO Stephen Elopは従業員にメモを送った。会社の現在の状況や問題、将来の確保について強く訴えた。

Elopは油田採掘に従事する男について語った。夜間爆発で目を覚ますとプラットフォーム全体が炎に包まれていた。男は採掘場の淵に立ちそこに留まって死ぬか、30m下の暗く凍った海に飛び込むかの決断を求められた。彼は決断しなければならなかった。彼は飛び込む事を決断した。普段だったら考える事も無かった状況である。しかしながら、その時は通常からはほど遠い状況だった。

男は落下と凍った海から生還した。彼は救出された後、燃える採掘場が彼の行動を大きく変えた事に気付いた。

Elopは前の月に、投資家や携帯電話事業者、開発者、部品供給事業者、従業員と議論を交わした。Nokiaはバーニングプラットフォームの淵に立っている。Elopはプラットフォームと共にNokiaの携帯電話やスマートフォン、SymbianとMeeGoプラットフォームについて言及した。このプラットフォームは、しかしながら一度の爆発では済まない。何回も起こるだろう。彼はAppleのiPhoneやGoogleのAndroidの様なアグレッシブな競合者や中国市場に急速に登場した安価な携帯電話に付いても言及した。Elopによれば、Nokiaは2007年に登場したiPhoneに近い体験を得られるデバイスを持ってなく、Androidは2年でSymbianスマートフォンシェアを抜き去ってしまう。

MeeGoはハイエンドスマートフォンに於いて勝利者となる期待が持てるプラットフォームだが、Nokiaは2011年の末までにたった1台のデバイスしか市場に送り出す事が出来ない。

デバイス間の戦いはエコシステムの戦いに移った。それにはソフトウェア開発者やマーケティング、Web検索サービス、ソーシャルメディアや位置情報サービス、ハードウェアやソフトウェアシステムも加えられる。Elopは競争はNokiaのデバイスのみのマーケットシェアを凌駕する事が可能であり、全てはエコシステムである。Nokiaはそれを自ら構築するかそれを推進する、もしくは参加するかを決断しなければならない。

Nokia + Microsoft = Lumia + Windows Phone

2011年2月11日に発表されたNokiaの新しい戦略によると、Microsoftとグローバルなモバイルエコシステムを構築するために戦略的パートナーシップを結ぶ事に合意した。MicrosoftのWindows Phone 7 OSは2010年の秋に公開され、これに続く世代がNokiaの新しい主たるスマートフォンプラットフォームになる。Nokiaはマーケットリーダになるためにプラットフォームに新しい機能を追加すると発表した。例えば、デジタルイメージングの機能である。

パートナーシップの計画では、NokiaはMicrosoftのWindows Phoneプラットフォームに将来的に貢献するとしている。Nokiaはハードウェアデザイン、言語サポート、ソフトウェアのローカライズ、Windows Phoneを新しい価格帯へ導く手助け、市場の区分けと地理的エリアなどを専門家として提供する。

NokiaとMicrosoftはマーケティングに於いて密接なパートナーシップを結んでいた。”今日、開発者、携帯電話事業者、消費者は魅力的な製品を求めている。それはデバイスだけでは無く、ソフトウェアやサービス、アプリケーション、カスタマーサポートを含んでいる、これらは素晴らしい体験をもたらすことになる。”とNokiaの社長でありCEOであるStephen Elopはロンドンで行われたプレスカンファレンスで述べた。”NokiaとMicrosoftはグローバルな規模と範囲の優れたエコシステムを構築する為に、お互いの強みを組み合わせることになるだろう。””これで3頭のレースになった”とElopは続けた。

2011年9月、Nokiaは最初のWindows Phone7.5ベースの携帯電話を発表した。それはNokia WorldイベントにおいてLumia 710と800モデルと紹介された。

悪のCEOエロップ氏が就任して以来。。。あれ(笑)
まあ、少なくともこのレポートを読む限りは何も悪いことはしていないですね。
自らも語っていた通り、MeeGoを高く評価しその可能性に賭けて、北米再チャレンジまで考えていた事実がここに明るみになっています。
“トロイ””破壊者”そうしたエロップ氏に対する評価には常々疑問を持ってきました。彼はプロの経営者として、アドビやマイクロソフトを渡り歩いてきた人間です。当然、Nokiaを最後のキャリアとは考えていないでしょう。倒れそうな巨大な老舗の携帯電話を建て直し、新たな評価を得て次のステップへ進む、これが彼本来の思惑では無いでしょうか。マイクロソフトからある一定の使命を帯びてやって来ているという考えは否定はしませんが、少なくともトロイなどという単純なものではない事はこのレポートを読んだ方には分かるでしょう。
まあ、悪人かも知れないですけどね(笑)

前任のCEOカブスラオ氏は社内を統治し、SymbianとMeeGoの争いを収拾して開発の停滞を脱し、成長戦略を描く事が出来なかった。この為、Nokiaの凋落を招きました。これは彼をCEOに指名した長らくNokiaの象徴であったオッリラ元会長にも責任があります。歴史にもしもは無いとしても、MeeGoを中心とした成長戦略を描くなら、VERTU会長の就任が噂されるバンヤッキ氏のような強いリーダに会社を委ねるべきだったと思います。ただ、それですらもハードウェアの供給元としてIntelを選んだ時点で未来は失われていたかも知れませんが。

さて、次回は異例の長編となったこのシリーズもついに最終回を迎えます。Nokia元従業員による新たな挑戦、フィンランドの携帯ベンチャーJollaと総論が主な内容となります。
“MeeGo最終章”タイトルが普通だ(><) それでは私のやる気にご期待ください(笑)

  1. 次のタイトルは”転生編”じゃないですか?w

      • palmdra
      • 2012年 10月 24日

      それいいかもw Jollaには200億円を使い切らない内にMeeGoとして独立を保てるようになって欲しいですね。

  2. 今回の話を読むと、もう成功するかどうかは二の次で、彼らが本気出して本当にやりたいように作ったらこうなった、っていうプロダクトを作って見せつけてほしいですねw

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