【Nokia】【Symbian】Symbian Belle ユーザエクスペリエンスをシンプルに


Annaの公式な配布が開始されて、ちらほらSymbian
Belleの情報を目にする機会が多くなって来ました。Belleの使用感などを交えながら、Belleを紹介して行きたいと思います。
Symbian BelleはAnnaに続くSymbianの最新OSでSymbian Foundationで開発していたSymbian^4の機能や特徴を大きく引き継ぐものです。Symbianは長らくOSのリニューアルに努めて来ました。その目的はNokiaがSymbian Foundationに提出したSymbian^4に関する提案書を見るとよく分かります。そこには”Symbian^4とはS60 5th Editionのユーザエクスペリエンスをシンプルにする事”だと書かれています。Symbian^3はS60 5th Editionをベースにしており、元々はテンキーパッド付きの携帯電話を想定していましたが、時代の要請に従ってタッチオペレーションUIに変更してきました。既存のユーザが違和感無く移行出来ると言うメリットはあるものの、フルタッチUIとして中途半端な面がありました。また、スマートフォンとしてはかなり初期に登場した事もあり、年々機能を追加する度に操作が複雑になっていく面もありました。UIをシンプルで美しく、そして新しいユーザ体験をそれがSymbian OSリニューアルの目的です。

・AVKONとの決別
S60のユーザインターフェイスをAVKONと言います。元々、スマートフォンの黎明期に未来志向な他のSymbianコンソーシアムメンバーと違って、まだまだ市場はテンキーパッド携帯電話を求めていると考えたNokiaが作った携帯電話向けのUIです。テンキーパッド、ナビキー、2つのソフトキーを前提としたUIとなっており、AnnaまでのSymbian OSではフルタッチUIでもOptionやExitといったテンキーパッドのUIのなごりを残していました。テンキーパッドデバイスの時はそれなりに合理的なUIだったのですが、タッチオペレーション主体の操作となると中途半端な感じは否めません。今回、そのAVKONのUIを廃止して全く新しいUIを導入するのがBelleという訳です。

・Qt Quick Componentsによる新しいUI
今回、ダイヤログやボタンなどUI部品はQt Quick Components for Symbianのものを利用しています。角を丸め、陰影を付けたダイヤログなど見映えのいいUIとなっています。これらの美しい部品を利用して開発者はOSと同等のリッチで美しいアプケーションの開発が出来ます。

・新しいステータスバーとツールバー

ステータスバーはインジケータなどを見直す事により、従来の半分程の高さになりました。具体的には従来のバッテリの残量を示すインジケータは縦に7つ並ぶようになってました。これを横に倒した電池のアイコンに変える事によりステータスバーを低くすることを達成しています。これは画面を出来る限り広く使うことに貢献します。
また今回大きく変った事としてステータスパネルの採用が上げられると思います。これはAndroidで採用されていたものであり、次期iOS5でも搭載されるものです。ステータスパネルに表示されている情報の表示に加え、データ通信やWiFi、BluetoothのON/OFFなどが出来ます。Androidデバイスと同じく、ステータスバーを指で押し下げていく動作で表示させる事が出来ますが、Qtならではの滑らかな操作感が楽しいです。

ツールバー、ここが最もUI的に大きく変ったと感じさせる箇所では無いでしょうか。

従来のAVKONのUIではここはOptionとCallやExitと言ったソフトキーに割り当てられたものになってました。テンキー、ナビキー、ソフトキーで操作するテンキーパッド付携帯電話の時はそれなりに合理的なUIでしたが、タッチ操作を前提としたUIとなると中途半端な感じは否めません。そこで、今回Belleで大幅な改変が行われました。
従来の様な文字によるメニューやコマンド表記を止めて、視覚的に分りやすいシンボル表記に改められました。また、テンキー携帯のUIを捨てた事により2つのソフトキーに拘らなくていいので、3つないし、4つにメニューを増やす事も出来ました。これによって頻繁に使う機能についてはメニューから起動しなくてもタッチのみで利用出来、利便性が上がりました。
例えば、基本のホーム画面はメニューのショートカットが追加されました。従来はホーム画面切替えキーを押して切替えを行っていましたが、Callボタンを損なう事なくメニューの追加が出来ています。(メニュー画面は従来通りホーム切替えキーでも切替え可能。)

・自由度が高まったホームスクリーン

SymbianのホームスクリーンはAndroidデバイスと同じく、複数のホームスクリーンとWidgetやショートカットを配置出来るユーザがカスタマイズ可能なものでした。ただし、Widgetのサイズは固定、ホームスクリーン間の移動は不可とカスタマイズ性はライバル達に劣るとこがありました。
Belleからは様々な大きさのWidgetがサポートされ、ホームスクリーン間でWidgetを移動させることが可能になりました。またWidgetもリニューアルされたものが数多くあります。まず、ClockのWidgetはデジタルとアナログで別のwidgetになりました。メールのWidgetは3件までのプレビューまで表示されるようになり視認性は増しましたが、4×3(ショートカットのアイコン一つを1単位とし、横の数×縦の段数で表わしています。)のサイズに大型化しています。


逆にWiFiのWidgetの様に2×1の様に小型化されたものもあります。

人によってWidgetの大型化によるスクリーンのスペース不足や逆に小型化による情報表示の低下に不満を持ったりする場合もあると思いますが、その辺りは開発者の方が色々なWidgetを登場させてくれる事に期待したいと思います。

・アプリケーションもより使い易く
アプリケーションの機能そのものは、従来と大きく変わるところはありませんが、所々に工夫が見られ使い勝手が上がっています。
例えば、メールについてはExchange Active Syncに対応していますが、ツールバーにシンクロボタンが追加されました。従来の様にOptionからsend and
receiveを選ばなくても、アイコンを1度タップするだけでメールの同期が開始されます。

Calendarについても同様です。従来、月間、七曜、日表示を切替えようとした場合、optionからChange viewを選ぶ必要がありました。Belleはツールバーにあるカレンダーの表示切替えを示すアイコンをタップすれば、それぞれの月間表示や七曜などのアイコンがポップアップし、切替えを行なう事が出来ます。

ブラウザについても、ブックマークのアイコンがツールバーに追加されて、これがなかなか便利です。
また、大きな変更としてブラウザ上でテキストをコピーして、他のアプリ等に貼り付ける事が可能になりました。

地味ですが、タッチ操作に最適化されたUIを採用することにより使い勝手を上げているのがBelleなのです。

・メニューを一新 MeeGo Harmattanと同じに


従来メニュー画面はよく使うアプリケーションショートカットやフォルダが並べられたもので、サーパーティ製のアプリケーションはApplicationフォルダに収められており、更に階層を掘り下げる必要がありました。
この形は改められ、サードパーティ製アプリも同じ画面に収められるようになりました。見えないところはスクロールで追うのですが、サードパーティ製のアプリが際限無く増えていったらどうするんだという問題はあります。階層が複雑となる事で使い難さを感じさせていたUIはシンプルとなり扱い易さが増したと思います。

・バイナリブレイクは起こらない模様
BelleはSymbian^4で実現されると言われていた機能や特徴をかなりの面で取り入れています。
Symbian^4ではQtがUIフレームワークとなり、従来のAVKONは廃止される予定でした。実際、Belleでも同様の事は行われ、BelleはQt
Quick componentsを使ってUIを構築しました。もう一つ言われていたのは、従来のAVKONのAPIは全てQtベースのものに置き換えられ、従来のS60のアプリケーションは互換性を失ない動作しなくなるというもの。これをバイナリブレイクと呼び、Qtを前面に押し出し生まれ返ることでプラットフォームを発展させる事が目的でしたが、Nokiaはそれを選ばなかったようです。Windows Phoneへメインのスマートフォンプラットフォームを移行させる事が決定した現在、一時的にでもアプリ互換性を失なう事は致命的で現実的選択を行ったと言えるでしょう。
Symbian^3端末はBelleでも従来通りAVKONとQt両方のアプリが動作します。

・まとめ
BelleはS60が3rdや5thにアップデートした時と同じような大きなアップデートです。AVKONという今までのOSのユーザインターフェイスを捨てた事で、最も大きなユーザエキスペリエンスの変更と言っても差し支えないと思います。
この試みはある程度の成功を収めており、従来の階層を遡る複雑な操作やキーパッド操作と折衷の中途半端な操作が改善され扱いやすくなっていると思います。
もう2世代位Symbian^3で行なわれて来たアップデートが来れば、MeeGo
Harmattanの様なシンプルでエレガントなUIになったと思うのですが、それは無いものねだりというものでしょう。現状、N8でも快適に動作しており、既存のSymbian^3ユーザとしても安心してアップデートを行なう事が出来るでしょう。
また、Belleの性能を最大限に引き出す、新しいハードウェアを採用したNokia 600、700、701という製品も控えており今後が非常に楽しみです。

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