【Mobile Movie】本日のモバイルムービー”EX_MACHINA”と”鉄人28号 白昼の残

本日のモバイルムービー、今回は2本だてGoGoSmartphoneまんが祭り(笑)です。対照的な2作品の辛口批評お楽しみください。もちろん視聴はNOKIA E90です。

EX_MACHINAは士郎正宗原作のAPPLESEEDから世界観とキャラクターを借りたスペクタルムービーですが、とにかく内容が無い(苦笑)。1作目からCGの技術は進化してキャラクタの表情などはより自然になりました。第1作目は3D故の不自然さを無くすため、敢てセルアニメ的な輪郭を協調した表現を行っていたんですね。それが逆に違和感を生んでいた事も確かなのですが、今回はかなり自然になりました。技術的な進化は見えるものの1作目と同じ、ハリウッド的な内容は薄いが仕掛けの大きさで見せると言う同様の手法で制作されています。1作目なら誕生編と言う事とCGの力でその辺も許されるのでしょうが、さすがに2作目ともなればCGのインパクトも薄れるわけで物足りないものになっています。
士郎正宗の原作と言えば、世界観の造りこみは尋常ではなくそれが作品の魅力になっていますが、内容的には小競り合いというところは否めず世界観に比べると小さい話になっています。しかし漫画ではカオス感と画面から伝わる緊張感はやはり正宗ワールドで、EX_MACHINAのCGで造られた綺麗な街では表現出来ないのかもしれません。
基本的には暴走する人とサイボーグの謎を追うというというストーリにサイボーグ化した主人公デュナンの恋人ブリアレオスの遺伝子から造られたバイオロイド、テレウスの三角関係を絡めると言うものですが掘り下げが足りないので非常に薄っぺらい感じがします。
生身の肉体を失った恋人に対して、姿だけでなくその資質まですっかり受け継いで現れたクローン。2人の間で揺れるヒロインというのがもう一つの骨格となるはずなのですが、あまりにもあっさりしていてそれを感じる事が出来ません。子供も観る事を意識してセックスというものを描く(Hシーンを入れろという意味じゃないよ)事が出来ないのが辛いところかもしれませんが。
もう一つの謎解きなんて物は有って無きが如きもの、今時中国ベンチャーでも造らないようなダサイヘッドセットが興醒め、重要アイテムなんだからもう少し気を使ってデザインすべきじゃないのかなと。
ひたすら3Gの洪水とスペクタル、動き回る士郎正宗キャラを楽しむものなのでしょう。自分の様なヲタクかあまり重たいものを観たくないカップルなどには良いのかも知れませんね。今イチです。

平成に甦った鉄人28号、深夜帯にTV放送されましたが高い評価を受けて、今川泰宏監督の名前を取って今川鉄人と呼ばれています。
今回の”白昼の残月”は今川鉄人の外伝的な話で、TV版の流れに有ると思っていましたが、同じ制作スタッフで主要なキャクターや設定は同じながらアナザーストーリー、パラレルワールドの物語になっています。
TVは深夜枠と言うことから予算的な制約が大きく、鉄人の魅力の一つである派手なロボットバトルというものは抑え気味でした。予算的に余裕のある映画版でそうした制約が外れて、うっぷんを晴らすような派手なロボットバトルが繰り広げられるのかと思っていましたが、実際は地味とも言える展開でTV版のトーンがそのまま踏襲されていて正に今川鉄人と言えます。
(実際にはギルバートやサターン、VL2号、モンスターと行った鉄人のライバルロボットが顔見せ程度ですが登場するのは嬉しい。これも映画版ならでは。)
一瞬にして街を廃墟に変える廃墟弾、それは本土決戦に備えた日本軍の最終兵器でした。そして10年ぶりに日本に帰国した帰還兵の義兄、もう一人の”正太郎”、執拗に正太郎を付け狙う謎の帰還兵”残月”、廃墟弾に纏わる秘密、それを狙う秘密結社の存在、謎を追う形でストリーは進みます。
高度成長期を目前に控えて、人々の中から戦争の記憶が薄れて行く中、戦争の記憶そのものである戦う事だけを目的に造られた兵器鉄人28号は戦争の全ての罪を償うかの様に戦いに挑みます。TV版と物語の骨子は同じです。正に今川鉄人そのもの。
派手さはないですが、深く重いストーリー、映画的なカタルシスもきちんと有ります。
地味ですが秀作です。お勧め。

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