【MeeGo】【N9】Nokia MeeGoの濃ゆーい話 その4

Taskmuro.comの勝手に翻訳The story of Nokia MeeGoも第4弾となりました。
今回は、発表後非常に高い評価を得たN9のユーザインターフェイスSwipe UIの誕生秘話というべき内容です。紆余曲折を経てHarmattanのUIはSwipeへと進化します。

それではMeeGo回天編をどうぞ(笑)

Maemo6ユーザインターフェイスコンセプト

IntelとMeeGoの提携を開始する前の、2009年10月のMaemoサミットイベントでNokiaはQtで開発されるMaemo6のコンセプト画像を公開した。Maemo6は’iconic user experience’とインターネットサービスが美しい一つのパッケージで提供される事が約束されていた。ユーザインターフェイスのデスクトップは複数の描画エリア(キャンバスの原則)から構成されており、アプレットやWidget、アプリケーション起動アイコンで埋め尽くされている。

マルチタッチがサポートされた静電式タッチスクリーンは、横画面と縦画面の両方に対応する計画だった。

Nokiaは以前のMaemoデバイスで縦画面をサポートしておらず、大きな変更であった。
UMPC Potal,Maemo 6 Early info(スライドと情報はMaemoサミットから直接。)

Harmattanユーザインターフェイス(UI)

オリジナルコンセプト

HarmattanのUIは本来、人の振る舞いや開発プロセスから学んだ基準の枠組みによる行動理論の原理に基づいていた。
最終目標は社会と個人を理解することであり、最も重要な事はその二つを結びつけることにあった。その理論は元々ロシアの心理学者Vygotskyの研究によるものだった。

目的は、人は仕事と情報伝達を相互に結びつけるためにいかに情報を利用しているか、それらの仕事の方法を技術がベースとなったワーキングモデルを強要する代わりにサポートすることである。このシステムはユーザの相互作用をどちらかの方法に適合させ、繰り返し相互作用が起こるようにするものである。

起動中のアプリケーションをアイコンとして見せる機能は、N900では一般的な機能である。これはHarmattanのユーザインターフェイスとしてデザインされたものを利用している。Harmattanのユーザインターフェイスコンセプトの必要条件はモバイルインターネットのサポート、ソーシャルメディアの認知、マルチタスク、パーソナライズや初心者と熟練者向けモードを含む。それはユーザがいかにデバイスに彼らの好むカスタマイズを行うか明確にする必要があった。

ビューは携帯電話事業者、サードパーティのアプリケーション、デバイスの状態を表示し、ユーザにはシステムをコントロールしているという感覚を持つ事がサポートされた。ユーザはバッテリーの状態やネットワークの信号、日付や時間を認知出来る。全ての通知やそれらのプレビューは1カ所で見れるよう設計された。

メインビューからはContacts、Phone、email、browserとSearchの様な重要な機能に素早くアクセス出来る様になっている。状態エリアではユーザに何かを知らせる適切な表示がなされていた。例えばバッテリーの消費量である。

最初のFlashベースのプロトタイプのHarmattan UIは2009年の春に作られた。当初はいくつかのキャンバスの内部に小さなWidgetが乗る様な考えをしていた。

最初のHarmattan UI

複雑化が顕著となったMaemoの組織とオリジナルコンセプトの内部コミュニケーションには欠点があった。大部分は主に新しいバージョンのSymbianユーザインターフェイスだった。最初に実現されたコンセプトはホームスクリーンを含み、追加可能なWidgetがあり、アプリケーションスイッチャー、通知エリアやアプリケーションラウンチャが含まれていた。


2009年中にオリジナルコンセプトとその背後にある理論はデザインチームと継続的なコミュニケーションの問題によって拡張されて行った。
いくつかのキャンバスのみだったものに変わって、スクリーンはたくさんのWidgetを内部に持つ大きなキャンバスで一杯になった。
要求条件はたった一つから、ホームスクリーンの数を増加させることになった。ユーザインターフェイスは特に開発者に取っては無秩序で複雑になったが、ユーザのテストによるフィードバックは嘗て無いほど増加した。目的はグラフィカルな要素への投資だったが、最初の実用的なUIバージョンではその成果を見る事は出来なかった。ユーザインターフェイスは独特で大胆なものだったが、不要に複雑でオリジナルの心理学的な理論はほとんど存在しなかった。一方でNokia最初のHarmattanデバイス、コードネームColumbusの出荷の締め切りは過ぎており、Harmattanの開発者のフラストレーションは大きくなっていった。

Simple Dali UI


2009年の末、Harmattan UIのコンセプト全体を知らない人間がユーザインターフェイスデザインのディレクターになり、それは捨てられる事となった。2009年12月末、Simple Daliと呼ばれる新しいコンセプトの開発が開始された。それは元々の行動理論が完全に放棄された別のモデルだった。

ホームビューは単純でシンプルなものにデザインされた。それはただクイックランチバーとアプリケーションランチャーアイコン(スクリーンの壁紙の中心に配置)が含まれていた。Widgetは完全に放棄され、マルチタスク上で動作する取り組みはほとんどなかった。UIは大幅に簡略化された。

ユーザインターフェイスは市場で競合するスマーフォンと共通項が多いものになった。UIもまた開発者にとって奇麗になって見慣れたものになったが、競争力は無かった。Linuxとオープンソースは消費者に対して販売面で十分でなかった。

Simple Dali UIは元々、2010年7月つまり6ヶ月で使用可能になった。”Daliはあなたの第一のデバイスです。”がテーマである。計画はソフトウェアの全ての部分が、日常の利用において第一のデバイスとして使われる舞台となる事である。目標もまた達成されて、ほぼ準備ができたユーザインターフェイスは磨かれた。最終目標は既に高く設定された。

2010年春、Simple Dali UIコンセプトは競争力が十分でないのではないかという疑念が生まれた。マルチタスクだけではデバイスやユーザインターフェイスを売るのに十分という話に出来ないと言う事である。背景にはUIの新しい強化が行われる事と、いくつかの古い要求条件に戻す事があるからである。

Swipe UI


2010年8月、Harmattan3つ目のUI開発が始まった。最初の動くプロトタイプSeattle-コードネーム UIは2日間で完成した。最初のコンセプト画像から恐らく今まで見た中で最も優れたUIであることは明白だった。Seattle UIにおいてグラフィカルデザインの投資は明白に見る事が出来、いくつかのオリジナルのHarmattan UIの基本原理に戻すことにより、Simple Dali UIは無視する事になった。


インタビューを行った多くの人によると、Seattle UIもしくはSwipe UIコンセプトはNew Yorkの80/20 デザインスタジオによってデザインされた。そこはアップルやアドビの元従業員を雇っている。Nokiaのロゴは会社のウェブサイトのリファレンスページから見る事が出来る。しかしSwipe UIの画像は見つける事が出来ない。にもかかわらず、コンセプトは外部の下請け会社から来ていて、スタイルとフィールのアプリケーションのデザインは後からNokiaによって作られた。

Swipe UIはMeeGoチーム内部の大きなサポートを受けてコードネームLankkuという新しいデバイスと連携した。全ての人がこれは勝利であると知っていた。残されたのは後に続くプロジェクトと一緒に消費者が利用可能にすることだった。

先進的なコンセプトであろうが、それを製品に落とし込めなければ絵に描いた餅ですし、様々な人々の思惑が方向性を誤らせれば、プロジェクトは混乱し停滞します。Nokiaは製造業でも5本の指に入ると言う膨大な研究開発費を費やしながら、沢山の研究成果が研究室に眠ったまま(もしくはパテントとして塩漬けされたまま)と言われています。
N9のSwipeUIがNokiaがスマートフォンプラットフォームをWindows Phoneに変更する事を決める直前に完成したのはなんとも皮肉ですが、それは遅過ぎたと言う事でしょう。

では、次回は数々の幻のMeeGoデバイスが登場するMeeGo望郷編(笑)です。私のやる気に期待して下さい。

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