【Nokia】【Symbian】燃えさかるSymbian blog

いつも有益な記事を提供してくれるMy Nokia Blog。このブログでも良く記事を紹介させてもらっています。そこに興味深いコラムが投稿されていました。My Nokia Blogには読者からの投稿が寄せられており、”MNB Reader’s Gnerated”として紹介されていくとの事です。その記事の一つがJanne氏から寄せられたもので、”Burning Symbian Blog”(燃えさかるSymbianのブログ)のタイトルが付けられています。
ここで言うBurningは勿論、昨年の2月11日、衝撃の金融イベントを前にして社員に送ったElop CEOのメッセージの流出メモ”Burning Platform”に由来し、それに関連付けられて書かれたものです。当然、燃えさかるプラットフォームとはSymbianの事であり、なぜNokiaはQtを中心とした$100-$1,000までをカバーするプラットフォーム戦略を捨て、Windows Phoneを選んだのか鋭い考察がなされています。このコラムを読み込みながら、Nokiaの戦略転換に付いて考えてみたいと思います。

コラムはElop CEOをトロイとする、著者Janne氏と相反す意見を持つコミュニティが言う戦略転換以降のNokiaの地位の凋落や、多くの解雇者を生み出していると言う意見を紹介しながら、それに対する反論を展開をしていきます。

間違えてはいけないのは”バーニングプラットフォームから飛び出したのであり、北海に飛び込めば痛みを伴うということだ。”

市場の変化はSymbianの成長を押える方向に動いている。特定の市場ではSymbianの伝統的な強みとは違った仕様の低価格なスマートフォンが加速する傾向がある。市場の変化の結果、Lumiaへの集中の増加を合わせたとしても、以前の予想よりSymbianは売れないだろうと信じている。

行くも地獄、下がるも地獄、それがバーニングプラットフォームだったはず、Symbianの成長は2010をピークに凋落傾向にあり、端末価格も下がっています。決して、それはリストラの所為でも、Windows Phoneへのフォーカスだけが理由ではないはず。

また、勇退が決まっている長らくNokiaの象徴であったオッリラ会長の発言も引用されています。

2.11を前後して2つの意見が何度も交わされた、Stephen ELopは彼のチームとともに、Symbianを近代化するのに必要な時間とWindows Phoneを採用するのに必要な時間がどのくらいかを説明し、Symbianプログラムの責任者さえ認める様な結論を得た、Symbianを完成させるよりWindows Phoneを採用する方が早い。

2つ目の意見は、Stephen ElopがSymbianに幾つかの将来のテクノロジーを追加するのが難しいと分かったと説明した事だ。

これを裏付けるものとして、SmartDevice部門の長ヨー・ハロー氏がWindows Phoneの採用によって、LTEの導入が早期に出来たとコメントしています。このコラムでもオッリラ氏のコメントでは言及がありませんが、Symbianがマルチコアプロセッサの採用や第4世代通信方式の採用に於いて問題を抱えていたのではないかと予想しています。

また、Symbianの問題としてC++の開発に於いて、独自であるが故の開発の難しさと、他への転用の難しさを指摘し、その問題を解決するのがQtのはずですが、まだ更に配管を追加する様なやり方に見えたとアプリケーション開発に問題を抱えていた事を指摘しています。(SymbianのC++が非常に独自なコードを求められる事は確かなのですが、それをQtが相当軽減させる事になるのは確かで、この辺はQt開発者などから反論のある所だと思います。)

Symbianは比較的質素であり、内部にデスクトップやサーバーを採用する他の競合するスマートフォンプラットフォームとは完全に異質である。内部構造の違いは、チップセットメーカが提供する標準のドライバやソフトウエアがSymbianに対応していない事もまた意味する。

これが恐らくSymbianを捨てる結果に繋がったのだろうと予想しています。つまり、現状Symbianはプラットフォームとしては貧弱であり、Symbian Donnaでマルチコアプロセッサの対応がある可能性や優れたカメラ機能にも言及しながら、マルチコアプロセッサや更なる高速化、第4世代通信への対応などの点で非常に困難を伴うとして、短期的には十分であろうが、長期的には問題を乗り越えられないだろうとしています。

Symbianが存在している事の意義は非常に重要で、なぜならQtの戦略全体がSymbianの基盤の上に成り立っているからである。それはMeeGoの立ち上がりと最終的な拡大を助けるもので、絶対的なもののはずだった。QtのマスマーケットはニッチなMeeGoが成長するまでの間、サポートを行うもののはずだったが、その基盤は期待より速く崩壊し、MeeGoは単独で行かなくてはならなくなってしまっただろう。

今更だが、Nokiaは遡って2007年にはSymbianからの移行を開始し、MaemoをSymbian NTの様なものとして、全てを優先的に行う必要があった。2011年にそれがあり得ただろうか、Nokiaはそれについて遅すぎると感じた。残るのは当然の歴史の帰結である。
Androidでクラウドに参加するよりも、MeeGoで単独のエコシステムの構築をするよりも、NokiaはWindows Phoneを主たるスマートフォンのオペレーションシステムとして、エコシステムの推進に集中と支援を行う事により最高の競争力を得る事と結論付け、エコシステム内の好ましいプレイヤーになるとして選択した。短期的な痛みは、長期の利益に。希望に向かう。Symbianの状況は背景として、その選択が大きな要因になる。

Qt戦略転換の大きな要因は時間的なものが大きいとしています。これは確かに言える事で、成長する市場のスピードにNokia単独のエコシステムの構築が全く追いついていけなくなってしまった事にあると思います。そこに残る選択肢はAndroidかWindows Phoneとなり、先行する競合メーカとの対抗策として主要プレイヤーになる可能性の高いWindows Phoneを選んだという事だと思います。ここでも強調されているのはスピード感で、2.11以前からElop CEOがスピード感を重視していた事が分かります。
SymbianからWindows Phoneへ、その移行を如何に円滑に行うか、Nokiaが真に復活する上で求められている事だと思います。More Speed,Nokia!

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