【MeeGo】【N9】”N9は始まり”チーフデザイナーが語るNokia UI

Marko Ahtisaari氏はNokia工業デザインチームに属するチーフデザイナーでMeeGo HarmattanのUIをデザインした事で広く知られています。Nokia工業デザインチームは2010年、最初のMeeGoデバイス出荷の為に全力を上げていました。Marko氏によると他の事は全くやっていなかったといいます。そこにはNokiaの将来を支えるUIデザイン創出だけではなく、ユーザの携帯電話の使い方に至るまでの深い思想が盛り込まれていた事が、Marko氏のプレゼンから分かります。
My Nokia Blogの良記事、ポイントを紹介していきたいと思います。

Marko氏は90日後には忘れているような、目を引く機能ではなく、人々が1日に50〜100回やるような物事の改善に興味があると言います。
携帯電話市場は中間層を超えると非常に盛り上がり、イノベーションが行われてる様に錯覚します。それは537番目の機能だったり、クラウドだったりエコシステムだったりします。しかし本質は何も変わらないと。彼は車にたとえ、耕耘機がステアリングホイールを搭載するまでに15年も掛かったと言います。

※非常に抽象的で分かりづらいのですが(私の解釈がダメなのもありますが)新たな機能の追加は本質的な物では無く、車のステアリングホイール(ハンドル)の様に普遍的な物は変わらないと言いたいのでしょう。

彼は市場に存在する携帯電話をパターンという形で分類します。

iPhoneのパターン:アプリケーション(アイコン)が複数の画面上に配置される。シンプルでエレガントなUI。常に何かをするためには玄関を通る事を要求され、簡単ですが愚かしいとも言えます。
多少の進化があり、ドアのベルを二度鳴らす事でダイニングからリビングへ移れる様になりました。
※iPhoneのマルチタスク機能を比喩しています。
iPhoneのマルチタスク機能がほとんどユーザに使われていないだろう事を指摘しています。

SymbianやAndroidのパターン:複数のホームスクリーンにWidgetを配置する。
時間とともに変化する有機的で簡略な※Widgetがwebの情報などを取得し変化する事を示します-ホームスクリーン上の機能。
このインタラクション(相互作用だがうまい訳とならない、操作ではまる時もあるが今回は違う)のポテンシャルを人々はフルに活用していない。(Symbian)Belleは市場のこのパターンで最も使いこなしやすく、洗練されたバージョンだ。

ここからN9の話に移ります。

N9は始まりに過ぎない。
N9における大きな仕事とは既に存在する2つのパターンより、良いデザインがあるという可能性の余地を示すこと。
一緒に働いてた人間の中には、それはWidgetを持たないのでスマートフォンでは無いと言うものもいた。既にあるパターンに彼等は想像力を制限されている。
N9のパターンを探すために、彼等は自分自身に物理的キーの無い、全てが画面である携帯電話設定した。人々はどの様な大きさの携帯電話でもより大きな画面を望んでいる。それらは、まだポケットの中でも外でも大きすぎる。
もし、画面上のインターフェイスでエレガントな全ての体験をデザイン出来るなら、製品の比率に応じた大きなスクリーンを得る事が出来る。本質はもっと多くの画面でそれが可能になるという事。
人は(明確に言わないとしても)完全な移動性を持つデザインを求めています。Marko氏はそれはNokiaが知っている何か、片手操作とその他の行なわれていることだと言います。
ほとんどのタッチスクリーンUIが本来やらなければいけないこと以上の集中を要求する没頭型である。人々は頭を下げてピンチやズームを行なう。
※Marko氏はビデオで頭をもたげて、画面を覗き込む動作を行ないます。
チームのゴールは人々が周りの世界からより多くの事を得られる様に、彼等の頭を再び挙げさせる事。

Marko氏はミクロ社会学にまで及びアイコンタクトの重要性を言及します。
もし、我々がその議論を避ける事を恥として技術のデザインをするなら、アイコンタクトもその一部である。

重要なN9 の開発思想が語られた所で実際のUIに触れられていきます。

使用の手助けをより良くすること。
適当な操作の使用をより良くすること。(使用に関してはかんべきな操作をする事が無く、小ささや美しさ、正確さの要求されるものを造る事ではありません。)
ディスプレイとガラスが流れる様に。-パターンの解決を如何に行うかきっかけを与える。
全ての操作がシンプルなジェスチャーで始まる。-swipe 何かのアプリ-例えば時計アプリ-を使用し完了させるには、どこからでもswipeするだけ-swipe awayはそれら(操作の)簡略化なのだ。
物理的なホームキーは存在しない。押すべきデジタルホームキーも無い。
端末の復帰もダブルタップするだけ、そしてswipeするだけ。-これは復帰も片手操作で出来る事を意味する。
これは私が興味を持っている事で、人々が日常的に50〜100回行い、改善しようとしている事。
そこに留まる事はしない。三つの重要な事、通知(アプリの起動)活動を有効にする事と活動の切り替得る事。-その何かをほとんどの携帯電話デザインがまだ持つ事に成功していない。

※通知機能をアクティブにしたり、またオフにしたり、アプリを起動したりこうした物を人の操作に委ねず、端末が自然に行う様な事を考えているのでしょうAI的なUI、確かにこれを目指すならN9は始まりと言ってもいいと思います。

ホームは回転木馬の動きのような3つの表示を持つ。swipe awayした時、元来たホームの画面に戻る。いつも玄関を通る必要がない。これはパターンを非常に流動的にする。-あなたは流されているように感じるだろう。それを使う事が信じられる唯一の方法。
我々は両方を試作した。それと共に1週間を過ごし、外部の者と共有した。
あなたはもしそれが改善されていて、流動的なバージョンである事が明らかになっているならそれらを見なければなりません。-しかしながらそれは理解しがたい物かもしれません。-より流動的で場所の感覚を失う事はない。

※これも非常に抽象的で分かりづらいですが、玄関の表現がある通り決まったホームスクリーンを持つiPhoneの様なUIを示す物と思われます。ホームを固定しない(ホームすら無いと言った方が適切か)N9のUIは決められたパターンと言うものが無く、常に自分が行った操作に左右される、前にやった操作、これから行う操作、それを流動的であると表現しているのだと思います。

その後Marko氏はハードウェアの話に移り、曲面ガラスやポリカーボネートボディの話をしますが、ここでは詳しくは割愛します。

また、カメラの話やNFCの話に付いても行いますが本質とは関係ないと思われるので個々も割愛します。

そしてNokiaは2つのUIを用意すると言います。一つはWindows Phone、もう一つがswipeです。swipeは手に入れやすい価格帯の端末に導入されると言います。

次の10億人を如何にして低コストで参加させる事が出来るか。それについては我々はiPhoneよりシンプルな物を送り出せる事を知っているし、Androidの複数ホームスクリーンより強力である何かを持っていると確信に近い物を持っている。
ゴールはあなたが忘れてしまう位自然な次のレベルにする事で、自然であることを追求した未来からの技術は、ほかの全ての技術を古い物と感じさせるだろう。
我々はどのようにして人々がそれを試す機会を与えるのか。それは多くの製品の始まりである。

拙い訳と未熟な解釈で分かりづらいと思いますが、N9のMeeGo HarmattanのUIがどの様な思想のもとに造られたか、その一旦は分かっていただけたと思います。Nokiaの工業デザインチームはシンプルなジェスチャーで端末を操作するという難しいテーマに挑み、見事に新しいUIを完成させました。しかし、これは始まりに過ぎないと言います。
また、なぜ既に大きく開発を縮小させるMeeGoを搭載したN9を今市場に投入するのか。ステファン・エロップCEOは昨年の衝撃の金融向けイベントで将来の市場拡大を見据えたマーケティング目的の投入と言いました。Windows phoneとならぶNokiaの新しいUI swipeはNext Bilion(次の10億人)の端末、Series40もしくはその後継OSに引き継がれていくと考えれば、そのよく見えなかった点も線として繋がっていくと思います。
ハイエンドとローエンドに投入される2つのUI、これがNokiaの次のUI戦略であり、ハイエンドを好むユーザー層だけではない、次の10億人にも新しいUIが投入されていくと私は解釈しました。
究極のシンプルなUI swipeの進化に期待するとともに今後も注目していきたいと思います。

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