【Symbian】Symbianは死なず、ただ消え去りもしない

NokiaがWindowsPhoneを採用し主力OSに据えるという事が発表されて、一気に湧き上がって来たのがSymbianは死んだでした。ところが遅れて発表された実際移行のスケジュールを確認すると、動きの速いモバイル業界に置いて5年という猶予を貰っています。

これは前のエントリで触れた通りローエンドからハイエンドまで広い範囲で市場をカバーするSymbianをリプレイスするというのは容易では無いという事です。
考えて見てください。Symbianは今年1億5,000万台の出荷を予定しています。現状では他のベンダー含めて精々1,000万台程度のプラットフォームを1億5,000万台規模のプラットフォームに引き上げる困難さは子供でも分かるはずです。NokiaとMicrosoftはその困難な課題に挑もうとしているのです。
そしてSymbian、金融向けのイベントでは非常に厳しい決断がエロップCEOから告げられましたが一転、MWCでのプレス向けイベントではSymbianファンに多少の安心感を与える発表がありました。

組織再編によりスマートフォンなどを担当することになったSmartDevice部門の責任者ヨー・ハローさんによりSymbian^3の新しいUIが発表がありました。

Symbianは引き続きリニューアルされていく。
最新のエクスペリエンスはover-the-airで提供される
新しい、エキサイティングなSymbian^3端末が登場する
インストールは簡単、ユーザによってコントロールできる

具体的には新しいUIを伴うソフトウェアのアップデートが行われます。これはPR2.0やPR3.0と呼ばれます。PR2.0は機能の追加であり縦画面での仮想QWERTYキーボードや新しいWebブラウザ(v7.3と言われています。)
そしてPR3.0はNokiaがSymbian Foundationに提案書を出していたSymbian^4と呼ばれていたもの。QtベースになりUIが刷新されます。

確かにアイコンデザインが垢抜けて、従来のS60のハードキーのUIを引き摺っていたOptionやExitなどのソフトキーは4つの頻繁に使うメニューに変更されています。
また、今年後半予定されていた1GHzプロッセサを採用した端末も投入されるのとのこと。本当に主力OSの座を下ろされて退役を宣言されたプラットフォームとは思えません(笑)
実際、当面はミッドレンジ以下のスマートフォンのボリュームゾーンを担う分けで実は数年は主力OSの座は失わない事になります。当然、メーカの顔と言うべきフラグシップモデルはWindowsPhoneになる訳ですけどね。

こうしてみると私はWindowsPhoneへの移行は必然であったと思いますが、その発表の仕方は決して上手くなかったと思います。Nokiaは変わるというという事を内外にアピールしたかったのだと思いますが、事実上ハイエンドがWindowsPhone、ミッドレンジがSymbianという体制が数年続く訳です。変化の激しいモバイル業界に置いて5年という年月は予想が付け辛く、もっと開発者を落胆させない方法もあったと思うのですけどね。

ただ、本当にSymbianの死というならこちらでしょう。

今後、開発費は削られ最終的にには0になります。数年の内にSymbianの開発はストップします。進化の激しいモバイル業界に於いて開発の手を止めるというのは死を意味します。それがやはりSymbianにとって致命的なものになると思います。

将来的なSymbianの展望はフランチャイズプラットフォームとしてOEMへの提供がなされます。現在はNTTdocomo(=富士通)が唯一のフランチャイズという事になりますが、将来的なOEM先が登場するかが気になります。

Symbian Foundationの時は採用メーカが参加しやすい仕組みをいくつか用意する試みが行われていました。ハードウェア抽象化インターフェイスのSHAIやリファレンスというべきWild DuckなどこうしたOEM向け技術の開発が継続されているのか気になるところです。
またEUのシリウスプロジェクトに組み込まれたSymbeoseの今後も気になるとこです。上記のSHAIやWild Duckの開発を引き継ぎ、将来はAndoroidでの競合を嫌う新興メーカが採用してくれたらなんて思うんですけどね。

Symbianは死なず、消え去りもしない。

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