【Symbian】Sony EricssonがSymbian端末の計画が無い事を報道される

Sony EricssonのCTO が”現在Symbian搭載端末の計画が無い”事を発表しました。SonyEricssonはSymbianのオープンソース化に伴い、子会社であるUIQ Technologyを閉鎖しSymbian Foundationに参加しました。第一段のSatioは話題こそ呼びましたが販売思わしくなく、新製品のVivaz姉妹はそこそこと言ったとこではないでしょうか。
ソニエリがSymbianを止める背景にはいくつかの要因があると思われますので私なりの視点で考察してみたいと思います。

・Androidへ資源を注力する
これが一般的には今回の最大原因と言われていることであり、私も複数の要因からの今回の結果であると思いますが最大の要因がこちらであると思います。
現在Sony Ericssonは4つのOSをサポートしています。Android、Windows Mobile、Symbian、独自OS、これはリソースの分散を呼び非常に開発の負担となります。Androidへ注力することにより急激な回復を遂げたMotorolaを見ればプラットフォームのある程度の絞り込みは必要となってくる事は明らかだと思います。

・オープンソース化しても尚も強いNokiaの支配力
オープンソースとなりSymbian Foundationとなりましたが、まだまだSymbianはNokiaのものと思っている人が多いのではないかと思います。実際Nokiaの支配力は相当強いと考えられます。またSymbian^1をSamsung、ソニエリが採用しましたが実質的にはS60 5th Editionです。彼らの独自UIをSymbian上に構築する必要があります。またSymbian^3についてもUIのブラッシュアップやOTGやHMDIサポートなどNokiaの意向に沿ったものが大半です。ホームスクリーンのカスタマイズを行ってもその下にはS60のUIがあり彼らのUIと互換を持てる訳ではありません。
S60のUIはNokiaUIとも言えるものでSeries40と併せて数億人のユーザがいます。最近、MeeGoにOSを置き換えるという話が度々聞かれますが、NokiaはSeries40のUIをS60に置き換える作業を7、8年の歳月をかけて慎重に行なって来ました。一気に変えるには大きなリスクがあり、そこにNokiaのイノベーションのジレンマがあります。確かにAndroid機を使っても他のデバイスメーカとの差別化は大きな課題ですがSymbianほどNokia色が強くはありません。ソニエリとして欲しいのはSymbianの電話機としての実績や安定性でありNokiaUIが欲しい訳ではないのです。

・親会社の意向
Sony EricssonはSonyと通信インフラ業界の雄Ericssonの合弁会社で決してSonyと同じではありません。ただ言えることはSonyの意向が強くなっている事は確かでコンシューマのマーケティングには強いSonyの方が製品開発やプロモーションには強い力を持っているように思えます。前にも書きましたがSony Ericssonの製品パッケージにはmake.believeという親会社Sonyと同じキャッチコピーがプリントされており、マーケティング的にはSonyの携帯電話という取扱いがされている事が分かります。
親会社SonyはAndroidへの傾倒が強く、GoogleTVの採用や噂されるPSP Phoneなど今後もこの傾向は強まると思います。そうした中でゲーム機、携帯電話、シリコンオーディオプレイヤー、TVまでAndroidで統一するというのは製品イメージの統一などマーケティング面でも有利に働くと思われます。

・Symbian^4へ向けての投資の控え
All about SymbianではSymbian^4でのカムバックの希望的観測を述べていましたがどうでしょうね。確かにSymbian^3はSymbian^4への橋渡し的な意味合いが強く、Symbian^3に投資したとしてもUIフレームワークが全面的にQtに変更されるSymbian^4においては再度の投資を余儀なくされるため^3はパスしようというのも十分考えられます。
ソニエリのエンジニアはSymbianを選ぶ理由としてオペレータのサービスに合わせ易い事を上げていました。確かに初期のAndroidはSMSで2バイト言語に対応していなかったり、MMSに対応もしていませんでした。こうしたGSM標準のサービスは元より、日本ほどではありませんがWAPを中心としたオペレータのサービスに対応させにくいという側面はあると思います。ただし、ここ1年ほどでユーザの求めるサービスも大きく変わっておりフューチャーフォンと呼ばれる一部の機能に特化した携帯電話でもSNSなどのWebベースのサービスが重要視されるようになってきています。この分野でSymbianが後手に回っているのは確かで、且つ従来携帯OSが利用されていた$200〜300の普及帯の部分にもスマートフォンが進出するのも珍しく無くなってきました。ここにはソニエリはX10mini、X10mini Proという人気機種を投入しており、下位機種のX8も投入が開始されました。ハイエンドX10とX10miniの間にVivazが投入されているのですがここが埋まればすべてラインナップをAndroidで埋めることが出来エコシステムを完成出来ます。Symbianを使う利点がほんの1年前に比べて低下しているのかも知れません。

個人的にはSymbian^3を載せたVivazの後継機が欲しいところですがこれは全く目が無くなった訳で、Symbian^4での復活に期待したいところです。
それにはSymbianが魅力的なプラットフォームならなくてはなりません。鍵を握るNokiaは現状のマイルストーンであるMeeGoの離陸とそれに伴うLinux技術者の獲得、その上で開発環境を同じくするSymbianを魅力的なアプリケーションプラットフォームとするという目標を達成しなくてはなりません。
ソニエリのSymbianデバイスの計画が無いことに対してNokiaがMeeGoに移行するためSymbianのような寿命の短いOSを回避するというものがありましたが、はっきり言ってこれは間違い。耕運機からベントレーまでフルラインナップを揃えるNokiaにとって$500、$600のスマートフォンに使われるような高級なOSだけがあれば良いと言うものではありません。ベーシックカーにF1のエンジンを載せて走らせますか(笑)

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