【Books】レッドゾーン

昨年話題になったNHKのテレビドラマの原作ハゲタカ、ハゲタカII(原題バイ・アウト)の続編になります。今回は映画の予告をご覧になった方は分かると思いますが、中国ファンドが相手になります。名付けて赤いハゲタカ、日本最大の自動車会社アカマ自動車に買収が掛かり、またもハゲタカ鷲津が登場するという訳です。背後に存在する中国国家ファンドの存在、前作で変死を遂げた鷲津の片腕アラン・ウォードの死の真相など数々の謎が折り込まれながら物語は進みます。物語の大半がアカマ自動車の防衛策に費やされて意外と鷲津自信は活躍しない感じもあります。

相変わらずこの方の書くものは読みやすくハードカバー上下巻で結構なボリュームなのですが、一気に読めてしまいます。
また前作、前々作で過去のドロドロしたものから解き放たれたからでしょうか鷲津は前に比べるとかなりとっつき易いキャラクタになってます。これもハゲタカの大衆化でしょうかね。
破綻寸前のビッグスリーの処理に関するたりが絡めて登場しますが、そのあたりはかなり物足りない。ハゲタカらしいディールの場面も殆どなく、高揚されるものが無いのが難点ですが、面白い経済エンターテイメント小説である事は間違いありません。

映画は相当ストーリーに変更が加えられる様で派遣問題など、NHKらしい優等生的な造りがされるのでしょう。レベル的には一連のTVドラマの映画化の様に2時間枠のスペシャルTVドラマといった様相で劇場に足を運ぶほどのものではないとは思いますが、この小説を読んだ後では見に行きたいなあという気持ちに駆られます。

最後にTo be continueの文字が無いのは残念ですが、サブプライム、リーマンショックに続く新たな危機が訪れればまた鷲津は戻って来ると思いますね。

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  • コメント (2)
    • weakboson
    • 2009年 5月 2日

    バイ・アウトってそんなに評判よかったかなぁ?と、思ったら、同名の小説があって真山仁の方はなかなかの評価だったんですね。(他方はけちょんけちょん)

    • ピードラ
    • 2009年 5月 2日

    同名の方は気になってましたが評価低いんですね。ハゲタカは時事ネタとエンタ-テイメントのバランスが良くて評価が高いのだと思います。後はモデル企業が分り易く裏事情的に語られるとこでしょうかね。

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