【Movies】グラン・トリノ

クリント・イ-ストウッドの俳優引退作と言われているグラン・トリノを観てきました。
妻に先立たれた孤独な老人、息子共とも折り合いが悪く、中産階級の崩壊により近所は居なくなり、マイナリティが大半を占めるようになったことに苛立ちを隠せない。
そんな折り 、隣にアジアの少数民族が越してくる。勝気な姉と内気な弟、同族のギャングにそそのかされた弟は老人のガレ-ジに盗みに入ろうとする。その車こそがグラン・トリノでこれをきっかけになにかと兄弟の世話を焼くようになる。なんてのが大まかなスト-リ-です。
言われている程良い映画では無いかも知れないです。でもこれは誇り高き映画だと思います。
グラン・トリノはまだアメリカが物作りに邁進していた時代の象徴なのでしょう。まじめに物作りを行なっていれば家族が養えて、家を建て、子供に教育をしてあげて送り出すことが出来るそんな古き良き時代の象徴であるでしょう。
イ-ストウッド演じる老人の苛立ちは家族に相手をされない事やへそにピアスを着ける呆れた孫世代にだけでは無く、崩れゆく中産階級や社会道徳の崩壊への不満に他ならないと思います。
イ-ストウッドはカンフ-マスタ-よろしく、アジアの青年に仕事を覚えさせ、社会で生きる術を教えて行きます。そこには自業自得とは言え、リ-マンショックで堕ちたる今も世界のリ-ダ-たる自覚と積み重ねてきた自信が伺えます。
アジア系移民の兄弟に降り掛かる運命は過酷であり、イ-ストウッドは最後の決断をしますが、それはマカロニ・ウェスタンでもダ-ティ・ハリ-でも無い正義の行使です。
決してハッピ-エンドではないにも係らず見終った後、清ぎよしい感動が残るのはイ-ストウッドが最後まで信念に基いて行動するからでしょうね。やはりこれは誇り高い映画なのだと思います。
振り返って、我が国からこのような映画は生れるのでしょうか。近隣諸国の批判が高まる度に卑屈な態度をとるばかりの我が国では無理だろうなあと思い、ちょっと寂しい気分になったのも確かなのでした。

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  • コメント (1)
    • kaeruco
    • 2009年 5月 9日

    広州からの帰国便で観ました。予備知識なく選んだものだったけど(クリント・イーストウッドのこういう映画があるのは知っていたがタイトル知らなかった)、まあ、良い映画でしたね。でも、観た後の喪失感っていっていいかな?(= それでも誰一人、これで幸せになれたわけでもない)、がちょっと重いかも。誇り高く死ねた人はいいだろうけど、みたいな。ってなことを考えるくらいにストーリー入り込めてるわけでもあります。だから、良い映画ですねやはり。

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