【Mobile Movie】本日のモバイルムービー”RED CLIFF PartII”

三国志最大の天下分け目の決戦赤壁の戦いを描く第2弾。PartIが赤壁前夜を描く英雄達の顔観せ興業だとすれば、今回の売りは赤壁の決戦そのもの、非常にスケールの大きい一大スペクタルとして描かれます。
RED CLIFFにはコアな三国志ファンからは不満の声も多いようです。私も原体験が人形劇三国志ですからかなり長らく三国志ファンを続けていますが、意外とRED CLIFFは好きなんです。それは武将達がスーパーマンとして描かれている点からですね。
関羽なんか数十人に槍で抑えつけられても撥ね除けちゃうみたいな。今迄、三国志の本格的映画化とか言っても武将がペシペシ斬り合って引き揚げていくみたいななんとも牧歌的な世界だった訳です。その不満をRED CLIFFはかなり解消してくれたんですね。要はこれって講談なんだと思います。ジョン・ウーという活劇の得意な稀代の講談師が英雄達の物語を語るものな訳です。確かに人間が描き切れていないし、あまりにも悪役然とした曹操のキャラにも深みはありません。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             

やはりこれって英雄譚でジョン・ウーなりの三国志の世界観があって、それに従って英雄達を縦横無尽に暴れさせるのが本作の魅力だと思います。
ただし、今回のPartIIは英雄達のスーパーマン振りは少々抑え気味、やはり赤壁の大決戦こそが主役であって、それを見せる事に主眼を於いた一大スペクタルですね。

周瑜と趙雲。男達の挽歌よろしく背中合わせで敵に切り込みます(笑)周瑜と言えば三国志演義では孔明の引き立て役ですが堂々とした総司令官ぶり、実際史実の彼は度量の大きい人物だったらしい。

曹操。単純な悪役ではなく、もっと深みのあるキャラクターにして欲しかったですね。俳優さんはうまい人なのですが、折角曹操の複雑な内面を示す部下に自分の息子の話をしたり、詩歌を読んだりするエピーソードを入れてありますがそこまで生かし切れていません。やはり呉に疫病の死体を送るシーンは部下の病状を心配するシーンの後ではと思います。そうすれば部下を思いやる仁徳者の姿と非常な戦人の両方の複雑な内命が描かれたのではないでしょうか。

まさにイメージぴったりの関羽さん。まるで連環画(中国の絵物語みたいなもの)そのまま抜け出てきたようなはまり役。
今回も少ないですがそれなりの見せ場は用意されています。実は三国志演義の前半の主人公は関羽だと言われています。物語の成立時期が他民族王朝支配の時期だった為、道教で神格化されていた漢民族の神様関羽を持ち上げたからだとか。

孔明のキャストを最初聞いた時、金城武ぃーと思いましたが、いやいや新しい孔明像の構築に成功。

という事でコアなファンは思い描いていた英雄たちの映像化(とそのスーパーマン振りを楽しみ)、初心者はこれを入り口に小説や歴史本、マンガなどに手を広げ、かつ大仕掛けのスペクタルを楽しむそんな作品だと思います。
ハリウッド的な大商業主義が鼻に付くとこもありますが(作品とは関係なし)、私は楽しめました。

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